ナディア・モハメッドは織機の前に座り、緑 の糸を使ってタペストリーを制作している。 ヤシの木の枝が重なり合い、鳩が茶色の鳩小 屋に向かって飛び立つ姿が綴られたタペストリーだ。「この仕事は、時間と手間をかければ かけるほど、自分自身に返ってくるものが大 きいのです」と60歳のモハメッドは言いなが ら作業を続ける。 ラムセス・ウィッサ・ワセフ・アート・センターの他の織り手たちと同じように、モハ メッドも11歳のときに手織りを習い始め、それが人生そのものを形作ってきた。「自宅で過ごすよりも、センターにいる時間のほうが長いんです」と語り、ここが収入源であるだけで なく、自分の居場所と感じられるコミュニ ティなのだと説明する。1950年代にエジプトの建築家ラムセス・ウィッサ・ワセフから訓練を受けた第一世代の織り手だった従姉妹の後に続き、モハメッドは1974年からこのセンターに …… 続きは誌面でお楽しみください。 TwitterFacebookPinterest こちらの記事は Kinfolk Volume 43 に掲載されています 購入する Related Stories Arts & Culture Volume 48 心の通じ合い イギリスの農村部で、急進的なユダヤ人コミュニティが土地正義をめぐる新たな定義を模索する。 Arts & Culture Fashion Volume 31 NEEDLE WORK 古代から伝わる刺青の芸術性が浮き彫りにされている、現代のソウル。 Arts & Culture Volume 33 未来に関する調査 50年後の世界はどうなっているだろう? 5人の専門家の意見。 Arts & Culture Volume 37 ハンナ・トラオレ アート界が次に注目する ギャラリスト。 Arts & Culture Design KUNIO MAEKAWA 1964年に誕生した個性的な集合住宅“ビラ・ビアンカ”で1979年に前川國男がデザインした家具を見る。 Arts & Culture Volume 40 アリス・シェパードと舞う 身体と対話するためのダンスについて。たとえそこに痛みが伴うとしても。