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OTTESSA MOSHFEGH

オテッサ·モシュフェグ

  • Arts & Culture
  • Volume 50

多作な作家の優雅な状態。
Words by Natasha Stallard. Photos by Luke Lovell. Styling by Heather Rest. Hair & Makeup by Hayley Farrington. Tailor Logan Neitzel by Logan Neitzel.

オテッサ・モシュフェグの小説に登場する人物たちはしばしば、適応できない者、孤独な者、そして社会の周縁にいる人々である。たとえば『McGlue(原題)』には酒に溺れる気性の激しい船乗りが登場し、『アイリーンはもう いない』では虐待され下剤を常用する娘が描かれる。『My Year of Rest and Relaxation(原題)』の主人公は、社会から逃れるために一年間睡眠薬で眠り続けようとする裕福な若い女性だ。優れた短編集『Homesick for Another World(原題)』では、不幸な恋人たち、憂鬱な未亡人、過食症患者、ドロップアウト、変人たちが描かれ、いくら自分の人生から逃れようとしても、かえってより深くその人生に囚われてしまう彼らの様子が浮き彫りにされている。

モシュフェグが語る自身の人生は、その小説に登場するアウトキャスト (社会から見放された人々)と、それほど大きくは異ならないように思われる。けれども、彼女の場合は自らのキャラクターアークを通じて成功と称 賛を手にしたという点で、登場人物たちとは決定的に異なっている。ではその生い立ちとは? クラシック音楽家の両親のもと、ニューイングランドで生まれ育つ。1  文芸編集者でパトロンのジーン・スタインのアシスタン トをしていたが、猫ひっかき病にかかり辞めたという経験を持つ。その後、スタインの紹介により『パリ・レビュー』誌に作品が掲載された。それはまる で魔法使いに夢を叶えてもらったような幸運にも思えるが、そもそもモシュフェグは、仕事中毒と呼べるくらいの努力の人なのだ。文学界の礼儀作法を気にするタイプではないため、物議を醸すこともしばしばある。かつてはアルコール依存症だったこともあり、古着を売って生計を立てていた時期もあった。彼女は、私が個人的にうらやましく思う、「オフィスワークは向いていないので一度もやったことがない」というタイプのアーティストのひとりだ。もちろん、モシュフェグはオフィスで働く必要などないのだ からまったく問題ない。

「執筆など、何か自分の人生を豊かにするようなことをしていないと、時間を無駄にしていると感じるんです」

モシュフェグに実際会うことは、その神話の世界に触れることを意味する。仕事中毒という噂について尋ねてみると彼女は微笑んだ。10年間に4冊 の長編小説、1冊の中編小説、1冊の短編小説集を出版しているという事実 そのものが、彼女がいかに働いているかという確固とした証拠だろう。しかし、モシュフェグは自身の生産性を別の視点から見ている。「執筆など、何か自分の人生を豊かにするようなことをしていないと、時間を無駄にしていると感じるんです。どんな本を書くかということよりも、有意義な人 生を送っているかどうかが私にとっては大切なので」

Zoom越しで話すモシュフェグは、夫で作家のルーク・ゲーベルと5匹の 犬と暮らすパームスプリングス郊外の砂漠にある自宅にいる。もともと一 家はパサディナに住んでいたが、2月のロサンゼルスの山火事が原因の土 砂災害により、現在の場所に一時的に避難してきたのだという。今日は風が強く、インターネットの接続が切れるかもしれないと彼女は心配している。ジッパー付きのパーカーというカジュアルな装いで、時折、考えごとをしながらジッパーを上げ下げしている。その背後には、庭の木々の葉が激しく吹き荒れる、モシュフェグ作品のような不気味で混沌とした世界が広がっていた。

JILSANDERのシャツ

(1) モシュフェグは文字を読む前に楽譜を読むことを学び、4歳でピアノを習い始めた。10代でピアノを諦めたが、初期の音楽教育は執筆の基礎になっていると考えている。「書くことは、文学よりも音楽に近いことが多いです」と彼女は2018年に『ニューヨーカー』誌に語った。「声の響きや、読者をまるで仮想現実のように、その意識の流れの中へと導いていく感じが、そう思わせるのだと思います」

天候を除けば、その空間は彼女の小説に登場する閉鎖的で安らぎのない世界とはかけ離れた、穏やかで家庭的な雰囲気が漂っている。しかし話を 伺っていくうちに、まもなく44歳になるモシュフェグ自身がカリフォルニ アで築いたその生活を、どこか不思議な気持ちと、ほのかな戸惑いをもって受け止めているということがわかってくる。愛犬ウォルターへの「うっとうしいほどあふれる」母性愛について語っているとき、彼女はウォルターと暮らす前の生活には「二度と戻りたくない」と言った。

「皿洗い、洗濯、犬、ベッドメイキング」など、やるべきことをToDoリストに 書くのが日課だ。これらのタスクにチェックを入れると、「何か変なことが 起きたとしても大丈夫」と思えるようになり、自分自身を安定させられる のだと話す。「私は行動を習慣化するタイプ。地に足をつけた生活を送って いるからこそ、ほかの部分で思いっきりクレイジーになれるような気がするんです」。その語り口には、混乱した女性が自由奔放になったときに何が起こるのかを、身をもって知っている人間にしか出せない含みがあった。「トイレットペーパーを買うなど、生きていくために最低限必要なこと、つ まり『人として当然やるべきこと』を一通りこなせていれば、創作のために使っている時間と脳の使い方にも、ちゃんと意味があるって思えるんです」

その創作活動には、ハリウッドへの進出も含まれている。モシュフェグ とゲーベル夫妻は共同でジェニファー・ローレンス主演のイラク帰還兵の 物語『その道の向こうに』の脚本を手がけたほか、ウィリアム・オールドロ イド監督のもと、トーマシン・マッケンジーとアン・ハサウェイ主演で、彼女の小説『アイリーン』を映画化している。モシュフェグの現在の予定には、 レイチェル・クシュナーの小説『終身刑の女』の脚本化、さらにもう「まだ口外してはいけない」という脚本の企画が1本あり、そして少なくとも100回は読んだというハロルド・ブロドキーの1954年の小説『The State of Grace (原題)』に反応して書いている『ニューヨーカー』誌のための短編小説がある。短編小説を書くのがあまりにも久しぶりだったせいで、執筆にどれほど深く没入しなければならないかをすっかり忘れていた、とどこか懐かしそうに語った。そして放置していることを自覚している5作目の長編小説も控えている。

モシュフェグは、「6カ月、7カ月、8カ月」と数えながら、自分がどれくらいその長編小説の草稿に手をつけていないかに気づき、「信じられない!」 と思わず声を上げた。「なんだか、大切な親戚に冷たくしてしまったような 気分。急に会いたくなっちゃった」。彼女はこの小説の舞台を、イギリスの海辺のリゾート地ブライトンに設定すべきだと直感し、そのひらめきに 従って執筆を進めたという。けれども、彼女はブライトンに一度も行った ことがなく、そこで撮影された映画の“光の質”を覚えているだけだったそうだ(「すみません、脳が働いていなくて!」とその映画の監督の名前をなんとか思い出そうとし、最終的にマイク・リーの名前を挙げた)。2 後日、初めてブライトンを訪れると「不穏な空気が流れているに違いない」という勘が確信に変わった。「たった1日半の滞在でしたが、半分くらいの時間を複 合施設の地下にある郵便局で過ごしました。というのも荷物を全部自宅に 送らないといけなかったから。でも本当に満足できましたし、私の勘が当たり過ぎてちょっと怖かったです」

それ以来、ブライトンへ「信じられないほど孤独な」ひとり旅を2度して いる。毎回、快適さを犠牲にしてでも小説の雰囲気を味わうことを優先し、海が見えるAirbnbに滞在するのだが、ある物件では雨漏りで天井が崩れ落ちたこともあったという。さらにグレアム・グリーンの小説『ブライトン・ロック』を購入したものの、その雰囲気が自分の作品に「染み出て」しまうの を恐れて、読むのを避けているのだという。

ブライトンからカリフォルニアの自宅に戻ると、小説を書くことが難しいことに気づいた。「自分で築き上げた世界から離れなければ、小説という もうひとつの世界を明確に見ることができないのです」とはっきりとした 口調で言う。まだ初稿の段階ではあるものの、モシュフェグが語る新作の 描写は断片的でありながら、“フル充電”されている。取材中に何度もこの 小説の話題に戻ることから、彼女の思考がいかに同作品に深く占められているかがうかがえる。主人公は18歳の少年で、テーマは皮膚と自傷行為だと彼女はほのめかす。「若い頃の私には、感情に対処する手段がなにもありませんでした。物事をどう感じるか、感じないか、それがこの小説のテーマ です」

“フル充電”されている。取材中に何度もこの 小説の話題に戻ることから、彼女の思考がいかに同作品に深く占められているかがうかがえる。主人公は18歳の少年で、テーマは皮膚と自傷行為だと彼女はほのめかす。「若い頃の私には、感情に対処する手段がなにもありませんでした。物事をどう感じるか、感じないか、それがこの小説のテーマ です」

モシュフェグは最近、次の執筆に備えるため、意図的に“10代の頃の自分” と再会している。2024年、彼女はSubstackのニュースレター『It’s Ottessa, bitch,』を創刊した。3 2000年代初期のMyspaceのようなローファイで ティーンっぽいレイアウトが特徴的だ。ニュースレターでは高校時代の ノートをスキャンしたり、20代のときに受けた神経心理学的評価を公開したりしている。さらには、15年前に見た夢について語り、そこに登場したもの(子どものフィンガーペインティング、コットンの白い下着、1988年に 作られた木製のZenith社製テレビ)を、eBayで購入できるようリンクまで 添えている。また別の記事では、『My Year of Rest and Relaxation』に登場 する映画をすべてレビューしているのだが、その多くは『ティン・カップ』、 『ショーガール』、『サンタに化けたヒッチハイカーは、なぜ家をめざすのか?』など、1980年代から1990年代の作品だ(しかも、それらのほとんどを彼女 は今回初めて鑑賞している)。

JIL SANDERのセーター、ISSEY MIYAKEのトップス、WOLFORDのタイツ

(2) 英国出身の映画監督マイク・リーは、舞台をブライトンに設定した作品を作ったことは一度もないため、モシュフェグが観た作品は、ベン・ウィートリー監督の『Down Terrace』だったのかもしれない。『ハリウッドレポーター』誌は、同作品を「マイク・リーが描く英国労働者階級の社会的リアリズムへのダークなコメディタッチのアプローチ」と評している。

(3) Substackは2017年に設立されたニュースレターのプラットフォームで、ライターが直接読者に有料購読を提供できる。伝統的メディアが衰退の一途をたどるなか、Substackは従来のメディアに代わる有力な選択肢として注目され、はじめは多くの著名なジャーナリストを惹きつけた。しかし、その後、Substackの表現の自由を守り、コンテンツモデレーションには干渉しないアプローチへの懸念を理由に、多くの人が離脱した。

「高校時代の片思いの相手にインタビューしてみたいとか、誰かの高校時 代について話を聞いてみたいとか、いろいろなアイデアが浮かんできまし た。自分の高校時代の姿と、今の自分を再会させているような作業でした。ティーンエイジャーって、本当に強烈な時期ですよね。私はあの頃を懐かしいとは思いません。すごくストレスフルだったことを鮮明に覚えていますし、たぶん私自身も、かなり神経をすり減らしていたんじゃないかと思います」

ニュースレターには執筆に関する相談のコーナーもあり、モシュフェグ が読者からの質問に答えている。たとえば、「人間嫌いを創作の土台にする のはアリでしょうか? でもそうすると最終的にチャールズ・ブコウスキーになってしまうのでしょうか?」や、「自分の文章がダメだって、どうやって 見極めればいいですか?」といった質問が寄せられている。4 LA在住の小説 家、エマ・クライン、ブレット・イーストン・エリス、レイチェル・クシュナー へのインタビュー記事は、LAには「作家の交流の場」が存在するが、作家は 家に引きこもって参加しないのが一番だという結論に達している。また別の 投稿では、『ロンドン・タイムズ』紙の文芸批評家ジョアンナ・トマス=コール が、モシュフェグの最後に出版した小説『Lapvona』(中世の領地を舞台に した作品)をアニメ映画『シュレック』と比較したことを非難している。

「俳優が出演作品を絶対に観ないと言うのは理解できます。 上映会は1000人の人が同時に私の本を読んでいるのを目の当たりにするような体験でした」

モシュフェグはゲーベルのSubstackにも登場している。たとえば、「私の 骨の折れる仕事~オテッサの食器洗いを記録する」という投稿では、病気で 具合が悪い中、食洗機に食器を詰め込む妻の様子を収めたドキュメンタリーが掲載されている。5 モシュフェグは、夫婦でプラットフォームを共同で 使うことについて尋ねられたときうまく答えられず、「もっと良い回答ができたらいいんだけど」と語る。代わりに、彼女はいかにSubstackが小説家 として、そして一個人として、自分にとって役立つツールであるかを力説する。「投稿することで、生活のちょっとした瞬間にもっと意識を向け、創造的 になれるようになりました。私はあと1カ月で44歳になりますが、自分の存在の範囲が大きく変わったと実感しています。とはいえ、一日に焦点を当てられるものは限られているから、自分の経験の中のそのほかの多くの ことを見逃しているのはわかっています」

モシュフェグの日常生活を垣間見ることは、孤独を探求することが多かった作家の変化を示すものである。それは、彼女にとってより共同作業 的な時代と重なる変化である。小説と脚本の違いについて尋ねると、「自分 自身、自分の独特な興味、そしてスタイルを脚本に持ち込む方法を学んでいる段階だと思います」と答える。「それに脚本の仕事は、実際に人と会って話し合ったり、ミーティングをしたりしなければいけない。締め切りも守らなければならないですね」。サンダンス映画祭で『アイリーン』のプレミア上映に出席したことは「恐怖体験だった」と語るものの、同作品の映画化自体は「奇跡的なプロジェクトだった」と表現している。「俳優が出演作品を絶対に観ないと言うのは理解できます。上映会は1000人の人が同時に私の本を読んでいるのを目の当たりにするような体験でした。観客全員が同時にページをめくっているように感じました」

脚本家としての活動は、彼女の物語の見方を変えた。「今は筋書きが大好 きになりました」と言い、脚本を「指示書のようなもの」に例えている。「今 は、以前よりも作品に対して一貫した姿勢を持つようになったと感じます。もはや美しい言葉や印象的なイメージを見せるだけの、美的な体験を提供しようとしているのではありません。物語全体としての体験を築こうとしています」

ニューイングランド出身の彼女だが、カリフォルニアでの暮らしが性に 合っているようだ。通りの向こうに現れるコヨーテとの遭遇や、近所に住むクマを動画に収めるといったこの土地ならではの自然とのふれあいを 楽しんでいる。「アメリカ映画が力を持ち始めたのがこの地域だったとい うのは、理にかなっていると思います。夕焼けや、この土地が持つ想像力とかエネルギーには、何か特別なものを感じます。そしてどこか奇妙で、嘘くささもある」。ロサンゼルスに戻るつもりかと尋ねると、彼女は笑った。「たぶんそうですね。今すぐという訳ではないけれど。これからどうするか決めます。もしかしたらこの家から追い出されちゃうかも。で、気づいたら南 米のどこかにいるとかね」

目下のところ、彼女はニューメキシコ州タオスへの旅に備えている。現 在約3分の2が完成している小説の初稿を向こうで仕上げる予定だ。「執筆 が完成する瞬間は、あらゆる精霊が集まってくるんです。タオスは宇宙的 で開放的で、かたちがなくて予測できないようなエネルギーがある場所。6 それにあそこは平地がまるで海のように広がっています。この作品を執筆 するためには海の前に座っている必要があるからちょうどいいですね。車で行けるので、犬を何匹か連れて行くこともできます」

モシュフェグらしいアプローチだ。彼女のその仕事中毒的な性格は、ある意味、信仰的でもある。人生の半ばに差しかかり、彼女は自分の人生と仕 事とのあいだに、まるで神の介入のような不思議なつながりを感じ始めた と語る。実際、この取材中も彼女は、10代のような悩みを冗談めかして口 にしたかと思えば、鋭い精神的洞察を語るなど、その両極を行き来していた。彼女の小説の読者なら想像できる振る舞いかもしれない。モシュフェ グの作品を読むということは、トランス状態のような世界に入っていくこ とを意味することから、そういった作品を執筆するためには、世間から身を引き、自らを孤独な環境に追い込むことが必要だというのも、深くうなずけるものがあった。それは、まるで修行僧や軍隊の訓練のような厳しさ を伴う作業だからだ。たとえ酷評されたとしても、彼女はそれを自身の糧 とする力がある。『Lapvona』が『シュレック』に例えられたレビューでさえ、 新たな方向への一歩を踏み出すための燃料になったという。7 「今の私は、 自分に完全な自由を与えています。怒りに満ちた嫌なやつになってもいい し、敬虔になってもいい。何でもありの状態です」。彼女はまるで自分がいまもっとも旬な小説家のひとりであることを自覚しているかのような、自信をにじませながらそう語った。

「今は筋書きが大好きになりました。もはや美しい言葉や印象的なイメージを見せるだけの、 美的な体験を提供しようとしているのではなく、物語全体としての体験を築こうとしています」

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(4) ドイツ系アメリカ人作家チャールズ・ブコウスキーは、「アメリカの下層社会の桂冠詩人」とも呼ばれ、レイモンド・カーヴァーやアーヴィン・ウェルシュといった作家たちだけでなく、ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズからも支持されていた。2014年ハリーはコンサート中に、ブコウスキーの詩集『You Get So Alone at Times That It Just Makes Sense』を朗読した。

(5) モシュフェグとゲーベルが出会ったのは2016年。『ロサンゼルス・レビュー・オブ・ブックス』誌の仕事で、ゲーベルがモシュフェグにインタビューを申し込んだことがきっかけだった。もっとも、そのインタビューが実際に掲載されることはなかった。

(6) 画家のアグネス・マーティンもまた、タオスの広大な風景に惹かれ、その素朴さが彼女のミニマルな作風にインスピレーションを与えた。「ニューメキシコから車でやって来る途中に見たあの平原には、何かがあると感じた。どんなものでも、表現に頼らずに描くことができると思った」と、1972年に完全な抽象表現への移行について記した文章に書いている。

(7) シュレックを題材にした学術書『Investigating Shrek: Power, Identity, and Ideology』(2011年)は、この映画をカントのコスモポリタニズム、進化心理学、ネオ・マルクス主義批判など、さまざまな理論的切り口で検証している。

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(4) ドイツ系アメリカ人作家チャールズ・ブコウスキーは、「アメリカの下層社会の桂冠詩人」とも呼ばれ、レイモンド・カーヴァーやアーヴィン・ウェルシュといった作家たちだけでなく、ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズからも支持されていた。2014年ハリーはコンサート中に、ブコウスキーの詩集『You Get So Alone at Times That It Just Makes Sense』を朗読した。

(5) モシュフェグとゲーベルが出会ったのは2016年。『ロサンゼルス・レビュー・オブ・ブックス』誌の仕事で、ゲーベルがモシュフェグにインタビューを申し込んだことがきっかけだった。もっとも、そのインタビューが実際に掲載されることはなかった。

(6) 画家のアグネス・マーティンもまた、タオスの広大な風景に惹かれ、その素朴さが彼女のミニマルな作風にインスピレーションを与えた。「ニューメキシコから車でやって来る途中に見たあの平原には、何かがあると感じた。どんなものでも、表現に頼らずに描くことができると思った」と、1972年に完全な抽象表現への移行について記した文章に書いている。

(7) シュレックを題材にした学術書『Investigating Shrek: Power, Identity, and Ideology』(2011年)は、この映画をカントのコスモポリタニズム、進化心理学、ネオ・マルクス主義批判など、さまざまな理論的切り口で検証している。

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こちらの記事は Kinfolk Volume 50 に掲載されています

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