指揮棒はよく、ハリー・ポッターが使うような魔法の杖と言われます。もちろん実際は違いますが、そうした見方も部分的には正しいでしょう。指揮棒は腕や身体の延長のように感じられなくてはなりません。 指揮棒は、指揮者の思考や作り出そうとしている音楽のイメージを大きく見せるためにあります。もともとは拍子を合わせるためだけに使われ、もっと長さがありました。ある作曲家が指揮棒で自分の足を刺してしまい、感染症になって亡くなったのです。その後、指揮棒は短くなりました。私の指揮棒は、アフリカ産の木材で作られています。米ミネソタ州に住んでいたときに、Custom Batons社のクリス・ブラウントさんに作っていただいた特注品です。 指揮棒は、身長に合わせ、一定の長さにする必要があります。手の動きに指揮棒が連動するよう、バランス良く、指になじむものが理想的です。高度な指揮の技術は必須です。優れた指揮によって、オーケストラは指揮者の指示を理解しやすくなるからです。素晴らしい指揮棒は、その存在を感じさせません。 TwitterFacebookPinterest Related Stories Arts & Culture Volume 38 リワイルダー:トーマス・マクドネル ハイランド地方を再生する自然保護活動家。 Arts & Culture Fashion Volume 31 NEEDLE WORK 古代から伝わる刺青の芸術性が浮き彫りにされている、現代のソウル。 Music Volume 31 リナ・サワヤマ 「エルトン・ジョンから電話をもらったんです。本当にびっくりしました」 Music Volume 35 デヴ・ハインズ 無限の 可能性を秘めた アーティスト。 Arts & Culture Volume 40 健康そのもの 写真家、シャオペン・ユアンが撮影した世界の奇妙な健康法。