指揮棒はよく、ハリー・ポッターが使うような魔法の杖と言われます。もちろん実際は違いますが、そうした見方も部分的には正しいでしょう。指揮棒は腕や身体の延長のように感じられなくてはなりません。 指揮棒は、指揮者の思考や作り出そうとしている音楽のイメージを大きく見せるためにあります。もともとは拍子を合わせるためだけに使われ、もっと長さがありました。ある作曲家が指揮棒で自分の足を刺してしまい、感染症になって亡くなったのです。その後、指揮棒は短くなりました。私の指揮棒は、アフリカ産の木材で作られています。米ミネソタ州に住んでいたときに、Custom Batons社のクリス・ブラウントさんに作っていただいた特注品です。 指揮棒は、身長に合わせ、一定の長さにする必要があります。手の動きに指揮棒が連動するよう、バランス良く、指になじむものが理想的です。高度な指揮の技術は必須です。優れた指揮によって、オーケストラは指揮者の指示を理解しやすくなるからです。素晴らしい指揮棒は、その存在を感じさせません。 TwitterFacebookPinterest Related Stories Arts & Culture Volume 31 四角い空間 インターネットの美学について。 Arts & Culture Volume 42 カリン・ママ・アンダーソン スウェーデンきっての画家の物悲しくミステリアスな世界に潜入。 Music Volume 35 ファティマ・アル・カディリ 変幻自在なコンテンポラリー・エレクトロニカ界のスター。 Arts & Culture Fashion パリシックな猫ちゃん やあ、かわい子ちゃん! パリ在住のおしゃれなソクラテスと一緒にスタジオで撮影をしないかい? ソクラテスの得意技は優雅に着地すること。 Arts & Culture Volume 30 花をいける: 安本美代子 フローラルデザインの世界でひときわ存在感を放つ安本美代子さんのパリのアトリエにて。