協調的なアプローチを確保するために、どの ような方法を用いていますか? 特に、いわゆる“きちんとした”建築図面が準備できな かったり、コミュニケーションのためのツー ルが不十分であったりする環境下で。
ガンドのようなコミュニティで仕事をする ときは、地元固有の文化を参照するという行為が大切です。また、現場でのコミュニ ケーションには模型を使用します。よりリアルなので。図面での表現には限界があり ます。あくまでも完成予想図ですから。もし、紙の上のアイデアだけでより良い世界 を作ることができるなら、人々が先見性の ある計画を立てたアフリカは、地球上でもっとも発展した場所になっているはずで す。図面以外の方法を考える必要があるのです。その点、模型は便利です。模型には精 神的な存在感があり、人々はそれを見て、 触って、空間的に理解することができます。
建築材料として土を使うことが多いですよ ね。サステナビリティへのアプローチについ てお聞かせください。
私は一時的な流行としてのサステナビリ ティには興味がありません。3 それよりも、 サステナビリティが社会経済や気候的条 件、人々の生活様式とどのように関連しているかに興味があります。またサステイナビリティとは、素材の革新的な使い方を見 つけることでもあります。たとえば、ユーカ リの木。これは乾いたブルキナファソの地 に生育する成長の早い木材で、一般的には 足場材や薪として使われています。しかし ユーカリ材には優れた耐久性があるので、 建築資材にも十分に適していると考えまし た。私がいつも考えているのは、その状況に 則した実践的なサステナビリティです。「持 続可能な建物」とは、「耐久性のある建物」。 人を包み込み、喜びと快適さを提供するも のなのです。
あなたは、建築におけるユートピア主義の重要性を強調しています。特に危機的な状況下では、現状を超えて想像することが求められ る、とおっしゃっていますね。実際にはどういうことでしょうか?
建築にとって、ユートピアは非常に大切です。ユートピアとは、より良い、より公平な世界を想像したり、夢を見たりする能力のこと。ベナンの国会議事堂のようなプロ ジェクトは、私たちのユートピア的思考の 表れです。私たちは、プロジェクトに着手す る瞬間からこの考え方を取り入れます。そ して、どうしたらそのプロジェクトが「私た ちの向上心を促進させる原動力になるだろ うか?」と問いかけます。偉業を成し遂げる ためには、ユートピア的なビジョンを抱く 必要があるのです。
よく「アフリカ建築」という言い回しを聞きま すが、そのようなものがあると思いますか?
そのように制限して考えることは危険で す。アフリカの建築家として、型にはめら れることに抵抗しなければなりません。パターンや形はもちろん建築の一部ですが、 これらは大陸の地域ごとに違いますよね? 建築は、気候、地域の資源、建築技術、社 会経済的な背景とどのように関連している か、現場ごとに判断するのが一番です。もち ろん、私はアフリカ大陸の建築というもの を信じています。つまり、人々にインスピ レーションを与え、アフリカ大陸に対する ポジティブな印象を与える建築こそがアフ リカの建築です。アフリカ大陸の建築はい たってシンプル。効率と国民を中心に考え た建築なのです。