ダイニングルームには、ゾーイ・グレイの絵画、Henning Kjærnulf のダイニングチェア、Fomu のカスタムダイニングテーブル、MakeBelieve のフロアランプが設置 されている。 写真家のショーン・フェネシーとアート ディレクター兼スタイリストのジェシカ・リ リコは引越し先を探し始めたとき、時間がか かるかもしれないと思っていた。オーストラ リア出身のふたりはメルボルンの小さな集合 住宅から離れ、家族4 人が暮らせる家を探し たいと考えていたのだ。そして何カ月もかけ ていろいろと調べた結果、アリステア・ノック ス の 作 品 に た ど り 着 い た 。1 9 4 0 年 代 か ら 1 9 8 0 年代にかけて 1000 軒以上の住宅を設計した ノックスは、現在「ブッシュモダニズム」と呼 ばれる有機的で角張ったスタイルを生み出し た。フィッシャーハウスの愛称で知られてい るフェネシーとリリコの自宅はメルボルンか ら 15 マイル離れたワランディート郊外にあ り、当時の色彩とミッドセンチュリーの精神 を保ちながら、繊細に修復されている。 アリステア・ノックスについて聞かせてくだ さい。彼のブッシュモダニズムに魅力を感じ たのはなぜですか? 彼が住宅を建て始めた1950年代後半から60 年代前半、この辺りはまだブッシュ (未開発の森林)でした。泥レンガや木材 といった地元の材料をリサイクルして家 を建てていました。ノックスは時代の最 先端を走っていたのです。彼の作品の特 徴はダークな色調の木材と質感のあるレ ンガをふんだんに使っていることなので すが、いまは多くの住宅が改修されています……。というのも、80 年代、90 年代、 あるいは最近でも、このようなスタイル は人気があまりなかったのです。そうし て白く塗られたり、木製のキッチンが取 り払われたりしていきました。私たちは そのような家に興味はありませんでし た。なぜなら、そのような家を元の状態に 修復することが現実的に可能かわからな かったから。幸運にも、私たちは 1969 年 に建てられてから手をつけられていない この物件を見つけることができました。 彼の作品の現在の人気を考えると、興味深く も悲しい話ですね。 視覚的にモダニズムの要素が見えにく かったのだと思います。木材やレンガけを見て、とても重く感じたのでしょう。 でもそこにはモダニズムやミッドセン チュリーの特徴があります。直線的なラ イン、傾斜した天井、建物の形や土地に対 する配置など、全体的にシンプルです。こ れは根本的にモダニズム。モダニズムで 知られるパームスプリングスの建築物に 似ているというわけではありませんが。 この建物は周囲の環境と調和するように設計 された家のように思えます。 その通りです。建築に興味があったのは もちろんですが、都心のアパートメント に住んでいたのでこれだけのスペースが あるのは本当に魅力的でした。景観デザ インはノックスが新しい建物を建てる際 に必要不可欠な要素でしたが、それも大 きな窓を見れば納得がいきます。外がす ぐそこに感じられるのだから、家の中の 体験を庭にまで広げたくなるのは自然な ことです。 季節の移り変わりをより感じられるようにな りましたか? そうですね。大きなガラスの窓ばかりで すから。カーテンもありませんし。特に冬 は起きたときは真っ暗ですけど、東向き だから朝日が昇るのが見えます。 他に気に入っているブッシュモダニズムの作 品は? ここからそう遠くないところに、ハイデ 近代美術館の一部になっている住宅があ ります。デイビッド・マグラシャンとニー ル・エヴェリストというメルボルンの建 築家が設計したもので、最終的に居住可 能なギャラリーにするために建てられた ものです。これはハイデIIと呼ばれていま す。特にインテリアが刺激的でしたね。 「モダニズムの要素が 見えにくかったのだと思います。 とても重く感じたのでしょう」 TwitterFacebookPinterest 「モダニズムの要素が 見えにくかったのだと思います。 とても重く感じたのでしょう」 こちらの記事は Kinfolk Volume 39 に掲載されています 購入する キッチンには、フェネシーとリリコがティウィ諸島で購入したアボリジニのアーティスト、イタ・ティプングウティの作品が飾られている。 BARBER OSGERBY が OZEKI & CO LTD のためにデザインした Double Bubble ペンダントライトが バスルーム付きの寝室のベッドの上に吊り下げられている。 Related Stories Interiors Volume 37 ゲルゲイ・アーデイ ギリシャ神話、中世のイコン、1970年代の魅力が融合したロンドンの アパートメントに潜入。 Interiors Volume 31 ホームツアー: アーコサンティ まるでSF映画の舞台や地中海のヴィラのように見えるアーコサンティは、“ユートピアの生態系”と呼ばれている。 Design Interiors Volume 31 仕事場: Green River Project アート界からデザイン界へ転身を図ったGreen River Projectのアーロン・アウジュラとベン・ブルームスティーンをご紹介。 Interiors Volume 40 ホームツアー: ヴィラアルシーナ 建築家のセルジオ・フェルナンデスが50年近く前に建てた別荘は、不自由な時代が生んだもっとも自由な空間。 Design Interiors Volume 44 アクセル・フェルフォールド 究極の審美眼が宿る城塞。 Interiors Volume 38 ホームツアー: オリヴィエ&グラディス・シェネル 古代美術で彩られたパリのアパルトマンで繰り広げられるパ・ド・ドゥ。
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