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IN THE FOLD

折り重なるつながり

  • Design
  • Partnerships
  • Volume 50

Lola & PaniとHOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEの継続する協業を垣間見る。
Words by Rosalind Jana. Photos by Lola & Pani.

ロンドンを拠点に活動するフォトグラファー、ローラ・ パプロツカとパニ・ポール。プライベートでもパート ナーであるふたりは、13 年の歳月をともにし、ユニッ ト「Lola & Pani」としては10年にわたり、唯一無二のク リエイションを生み出し続けている。2020 年に発表した写真集 『Studio Portraits』が日本に届いたことをきっかけに、HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEとのコラボレーションが始まった。同ブラ ンドは、ISSEY MIYAKE INC.を代表するプリーツ素材を中心に展 開するメンズライン。この取り組みは現在も進行中で、ふたりがド キュメンタリーやポートレート、ファッション写真を通じて培って きた独自のビジュアル言語を基に、鮮やかな色彩で描かれる個性豊 かな人物像の連作として展開されている。

HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEとの仕事で、どんなところにやりが いを感じますか?

ローラ・パプロツカ(以下LP): HOMME PLISSÉ の撮影ではスタ イリストを使わず、実際に服を手がけているパタンナーやデザイ ナーたちがモデルのスタイリングまで担当します。それによって、 シルエットには独自の美しさがあります。

撮影するモデルに対して、特別な「何か」を求めていますか?

パニ・ポール(以下PP): 最初の頃は、自分たちのドキュメンタリー プロジェクトで撮影したことのある人たちにモデルをしてもらい ました。ロンドンで発表した最初のHOMME PLISSÉ のキャン ペーンにも出演してもらっています。そこから少しずつ広がって いきました。モデルを選ぶときはとても直感的で、「この人だ」と 感じる瞬間があるというか、顔立ちや雰囲気にどこか響くものを 感じます。 LP: スケーターやダンサー、ミュージシャン、アーティストなど、 そういった人たちが多いですね。自分というものを自らつくり上 げてきた人たちにこそ魅力があると思います。

洋服には、人を変えるものもあれば、もともと持っている魅力を引き 出すものもあります。HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEの服をまとっ た被写体を見たとき、どちらの印象を受けますか?

LP: 着ることで変化する人は確かにいると思います。撮影現場に 入った瞬間に、自信に満ちたエネルギーを感じるような人はよく います。一方で、生まれながらの表現者のような人もいます。たと え撮影が初めてでも、実際そういう人が多いのですが、カメラの前 に立つと自然と変化するのです。

ドキュメンタリー撮影とキャンペーン撮影はまったく別の領域にな りがちですが、ここではうまく融合しているように感じます。 HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEとのあいだに共感できる価値観のよ うなものを感じていますか?

PP: お互いに写真という媒材、そしてものづくり全般に対してこ よなく敬意を持っていると思います。私たち自身も、すべてアナロ グで撮影し、プリントも暗室で1 枚1枚手作業で仕上げています。 LP: HOMME PLISSÉチームには“ファスト”ファッションという 概念がありません。時間をかけて丁寧に取り組み、色に関してもすばらしいリサーチを行っています。その多くは自然に根ざしたも のです。ある国や場所の石からインスピレーションを得たコレク ションの場合、実際にその土地に足を運び、石を探し、そこから色 を導き出していく。とても長いプロセスですが、それこそが最高の ものづくりの方法だと思います。

HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE との仕事においても、丁寧に時間を かける姿勢は大切にされていますか?

PP: いつも同じ手法で撮影しているからこそ、プロジェクトは ゆっくりと、緩やかに進化を遂げています。日によって光の色に微 妙な違いがあったり、撮影する建物を通してその変化が現れたり、 現地で行われたキャスティングによってもニュアンスが変わるこ とがあります。でもプロジェクトの土台は変わりません。長い時間 をかけて見ていくと、その積み重ねがとても美しいです。一見よく 似た2枚の写真が、実は5年の時を隔てて撮られていることがあり ます。それを知っているからこそ、特別なものに感じられるのです。

「時間をかけて丁寧に取り組み、 色に関してもすばらしいリサーチを行っています。 とても長いプロセスですが、 それこそが最高のものづくりの方法だと思います」

おふたりはもう10年も一緒に活動されていますが、普段の仕事はどん な感じで進めていますか?

LP: ふたりとも現場で撮影を担当し、それぞれに着眼するポイン トを決めています。使うカメラは違うこともあり、交換し合うこと もありますが、一緒に仕事を始める前から培ってきた美意識を融 合させて、独自のスタイルができあがっています。また別々に旅を して撮影することもありますが、それでも同じ名前のもとに発表 しています。今やそれが私たちの共通のビジュアル言語になって いますから。

お互いの仕事のやり方で尊敬しているところはどんな点ですか?

LP: パニはとてもクリエイティブで、自由で即興的な発想の持ち 主です。ムードボードを作ったり計画を練ったりもしますが、撮 影当日には必ず自然に生まれる何かがあります。 PP: 私は細かいところにこだわりすぎてしまうことがあります。 たとえそれが最終的な仕上がりに大きな影響を与えないことで あってもそうです。そんなとき、ローラは「十分できているから、 別のことに集中しよう」と言ってくれます。彼女は1 日の段取りを 広い視野で捉えているのです。

本記事は HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEとのパートナーシップ により制作されました。

 

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こちらの記事は Kinfolk Volume 50 に掲載されています

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