• お買い物カゴに商品がありません。
cart chevron-down close-disc
:
  • Arts & Culture
  • Volume 50

WARP SPEED

新たな高みへ

伝統の織物を、誰も見たことがない境地へと昇華させる京都の織り手たち。 Words by Tim Hornyak . Photos by Yuna Yagi.

今年開幕した大阪・関西万博。吊り下げられた ロープやラタンの織物、空気膜構造など、細部 にまで趣向が凝らされた各国のパビリオンが 並ぶなか、ひときわ目を引くのが、大胆な赤い 花柄の織物で包まれた建造物だ。約3,000平 方メートル以上の面積を持つこの建物は、 ジャカード織で包まれた建造物としては世界 最大であり、ギネス世界記録にも認定された。 使用されているジャカード織は、厳密には日 本の伝統的な絹織物である西陣織だ。そして この西陣織を手がけたのは、京都の織物の豊 かな伝統を新たな方向へ導いている、300年 細尾」である。

細尾のビジョンを知るには、京都・烏丸御池 の裏通りにある旗艦店を訪ねるのが一番だ。 版築塀と墨漆喰の高い壁に囲まれたがっしり とした建物で、外観だけではその全容をうか がい知ることはできない。けれど、店内に入る と、ブランドのシグネチャーである金糸で織 られたシルクのクッションやカーテン、ジャ ケット、ドレス、スリープウェアなどが、きら きらと輝いている。2階のギャラリーでは、細 尾のテキスタイルがアートのように飾られて いる。なかには、幅が1メートル近くある正方 形や長方形の作品もあり、そこには、かすかな 線と微妙な色のグラデーション、淡い雪のよ うな色彩、コンピュータグラフィックのよう な幾何学的なモノクロームの模様などが描か れている。これらは上階にある予約制ショー ルームに展示されている、細尾の主力商品で ある伝統的な帯や振袖とはかけ離れているよ うに見えるが、すべては同じ創業理念から生まれている。

2020年に社長に就任した12代目当主の細 尾真孝さんは、「私たちはコストや生産効率を 度外視して磨かれてきた織物の精神を受け継 いできました」と語る。「依頼に合わせたお誂 えの織物を織り続け、ただ美しさだけを追い 求めてきた ………

続きは誌面にてお楽しみください。

a_delivery

こちらの記事は Kinfolk Volume 50 に掲載されています

購入する

Kinfolk.jpは、利便性向上や閲覧の追跡のためにクッキー(cookie)を使用しています。詳細については、当社のクッキーポリシーをご覧ください。当サイトの条件に同意し、閲覧を続けるには「同意する」ボタンを押してください。