今年開幕した大阪・関西万博。吊り下げられた ロープやラタンの織物、空気膜構造など、細部 にまで趣向が凝らされた各国のパビリオンが 並ぶなか、ひときわ目を引くのが、大胆な赤い 花柄の織物で包まれた建造物だ。約3,000平 方メートル以上の面積を持つこの建物は、 ジャカード織で包まれた建造物としては世界 最大であり、ギネス世界記録にも認定された。 使用されているジャカード織は、厳密には日 本の伝統的な絹織物である西陣織だ。そして この西陣織を手がけたのは、京都の織物の豊 かな伝統を新たな方向へ導いている、300年 細尾」である。 細尾のビジョンを知るには、京都・烏丸御池 の裏通りにある旗艦店を訪ねるのが一番だ。 版築塀と墨漆喰の高い壁に囲まれたがっしり とした建物で、外観だけではその全容をうか がい知ることはできない。けれど、店内に入る と、ブランドのシグネチャーである金糸で織 られたシルクのクッションやカーテン、ジャ ケット、ドレス、スリープウェアなどが、きら きらと輝いている。2階のギャラリーでは、細 尾のテキスタイルがアートのように飾られて いる。なかには、幅が1メートル近くある正方 形や長方形の作品もあり、そこには、かすかな 線と微妙な色のグラデーション、淡い雪のよ うな色彩、コンピュータグラフィックのよう な幾何学的なモノクロームの模様などが描か れている。これらは上階にある予約制ショー ルームに展示されている、細尾の主力商品で ある伝統的な帯や振袖とはかけ離れているよ うに見えるが、すべては同じ創業理念から生まれている。 2020年に社長に就任した12代目当主の細 尾真孝さんは、「私たちはコストや生産効率を 度外視して磨かれてきた織物の精神を受け継 いできました」と語る。「依頼に合わせたお誂 えの織物を織り続け、ただ美しさだけを追い 求めてきた ……… 続きは誌面にてお楽しみください。 TwitterFacebookPinterest こちらの記事は Kinfolk Volume 50 に掲載されています 購入する Related Stories Arts & Culture Volume 50 友人のパーソナリティタイプ “味な”表現で見る友人のパーソナリティタイプ。 Arts & Culture Volume 37 ハンナ・トラオレ アート界が次に注目する ギャラリスト。 Arts & Culture Volume 43 ラムセス・ウィッサ・ワセフ・アート・センター エジプトの伝統的なタペストリーを綴り続ける織物職人たちをご紹介。 Arts & Culture Volume 45 デニス・オクウェラ ウガンダに変革をもたらすモデル兼慈善家。 Arts & Culture Fashion Volume 32 エリス・バイ・オルセン 史上最年少の雑誌編集長として話題となったエリス・バイ・オルセン。21歳になった今、彼女は何をするのだろう? Arts & Culture Volume 38 エイドリアンのヨガ 自分らしいフローをようやく見つけたヨガの女王。