パンデミックのステイホーム中は、どのように過ごしていましたか?
いつもよりも読書量が増えました。尋常ではないほどの量を読みました。あとは、スポーツにのめり込みましたね。昔からスポーツが大好きなので。
何かスポーツをしていますか?
私はテニスマニアで毎日のようにテニスをしています。あと、サッカーも大好きなんです。少し前まで2チームに所属していたのですが、今はちょうど怪我のため中断しています。でもシーズンが終わる前にはまた復帰するつもりです。テニスとサッカーは、まさに私の人生のすべて。幼少の頃からやっているのですが、大人になってから激しいテニス熱とサッカー熱が舞い戻ってきたんです。私たちは、年を取ってからでは何もできないと思ったり、物事をやり直せないと考えたりしがちです。どうせ上達しないから、と諦めてしまい、新たな挑戦に踏み出せずにいるのです。楽しい時間が過ごせて学びになるのに。「どうぜプロにはなれないんだからやらないほうがいい」いう考え方には、強く反対します。
変だと思われるかもしれませんが、Blood Orangeが良い例です。このプロジェクトは、すべて私の楽しみのためであり、自分を満足させるためにやっています。たとえば、私はグラフィックデザインを勉強したことがありませんが、アートワークをすべて自分でデザインしています。ツアーのポスターもグッズも、すべて私が手がけています。グラフィックデザインの達人になりたいわけではありません。3 極めたいことでもないし、人のためにデザインを提供することには興味はありません。でも、Blood Orangeという自分のプロジェクトの文脈のなかで遊び心を発揮できることはとても楽しいです。
これまで生きてきて、何か発見したり悟ったりしたことはありますか?
最近では、外のノイズが気にならなくなってきたように感じます。以前は少し気にしていました。私にとってのノイズとは、ソーシャルメディアやInstagramなどのことです。現実社会に対して、私は強い意思を持っています。4
つまり、地に足をつけて現実の世界を生きるという決断ですか?
ええ、でも、エジプトに冒険旅行するとかいう意味ではなく、生身の人間と関わるという意味です。というのも、この小さな携帯電話の中にこの世のすべてがある、と信じ込まそうとする人たちがいて、それはとても邪悪なことだと思うのです。気持ち悪くなります。私はそんなものと関わりたくありません。私は家族や友人、恋人と一緒に、この現実世界に存在していたいんです。
長編映画を監督したいと考えたことはありますか?
考えたことはあります。しかし専門外のジャンルの芸術活動をするときには、その芸術をリスペクトしなければいけません。新しいジャンルに飛び込んだりはしたくありません。Blood Orangeの活動のように、自分にとって自然な流れでなければやりたくありません。どうすればそうなるかはわかりませんが、ごく自然に新たな芸術を表現できるようになる日が来れば良いなと思っています。
Blood Orangeの次の展開は? どんなことをやりたいと思っていますか?
未定です。今までもBlood Orangeのアルバム制作に関しては、計画を立ててやってきていないのです。まだ続けるだろうなとはつねに思っていますが、具体的にはいつ何をするのかはわかりません。目の前に取り組まなければならないことがあるので。断言できるのは、Blood Orangeのライブはやらないということ、絶対に。それは保証できます。どんな形態であれ、当分の間ライブは行わないでしょうね。でも2年後には作品を作るかもしれません。