建築を専門的に学んでいないことが問題に なったことはありますか?
それで不利になったことは一度もありませ ん。比較的遅くこの世界に入ったので、社会 経験も十分ありました。それに私の嗜好や 方向性は非常に特殊です。イートン校に 通っていたことが関係しているのかどうか はわかりませんが、自分に自信があります し、この自信が役立っています。3 「資格を 持っていますか?」と聞かれたこともあり ません。たしかに世間に知られるにつれて 「ちょっと待って。本当に資格がないのです か?」と言う人も出てきました。でも資格が あるなんて、私は一度も言っていませんよ。
建築はウェルビーイングとって大切なので、 質感や色彩を多用するべきだという考えが増 えています。そのような動きに影響を受ける ことはありますか?
いえ、まったく影響されません。70年代に 建築を始めた頃は、みんな私のことを変だと思っていました。姉が「ミニマリストクラブへの入会申込書を送ります」と白紙の紙を送ってきたことがありましたよ。でも私の別荘に来た人たちは「わぁ!」って感嘆 の声を上げます。その反応がすべてですよね? 気に入ってくれたのでしょう。あるいは教会で神を身近に感じたり、レストランでは食欲を刺激したり。それぞれの空間は、 人が住んだり、働いたり、祈ったりするため のものであり、そのために設計されていま す。人工的な色は必要ないと思っています。
ご自身のスタイルやビジョンは時代とともに変化してきましたか?
正直に言うと、変化していないと思います。 もちろん、進化していますし、素晴らしい チームによって維持され改善されてはいます。スタッフの多くは20年以上在籍していますし、若い世代もいます。みんな意志が強 い。「デザインは最高だけど、こことここだけ変えてもらえないかな」と私が言っても 「はいはい、それは良いアイデアですね」と答えて何も変えてくれませんから。直っていないことに気づいたときには、もう手遅 れと言われます。
まだ挑戦していないものはありますか? 次はどのような活動を予定していますか?
大規模なもの、空港や駅ですね。リストにはありましたけどね。以前はウィッシュリ ストを作っていましたが、今は用意された プロジェクトに没頭できるだけで幸せで す。小さなことがうまくいくと喜びを感じ るのです。
次はどのような活動を予定していますか?
誰も永遠に続けることはできません。後継 者がいなければなりませんから。だから信 託を考えています。経済面でも管理面でも 私はやがて手を引くことになり、チームが それを引き継いでいくのです。メンバーは 誰も「ミニマリスト」ではありません。誰も私ではないし、私になるために雇われたわ けでもない。才能あるデザイナーであり、優れた建築家であるから雇われたのであっ て、私になるためではありません。