ポルトから北へ1時間ほど車を走らせると、 丘陵地帯に入る。そこからカミーニャの町に 向かうと、道は谷間に入り込み、そのあと海辺 に波が打ち寄せる広大な景色が左手に広がっ た。ここはポルトガルとスペイン・ガリシア州 との国境の地であり、湾の向こうにはサンタ・ テクラ山がそびえている。 建築家のセルジオ・フェルナンデスが、ミー ニョ川の河口を見下ろす丘の中腹に1区画の 土地を手に入れたのは1970年代初頭。その当 時周囲には建物がなかったが、彼は自分用と、 一緒に土地を購入した友人のために、まったく同じ家を2軒並べて建てた。ポルトからそ の山の中の別荘まで私を車で連れて行ってく れたフェルナンデスは、「この土地と同じ形の 家を建てたかったのです」と説明する。85歳 の彼は、軽快な動きと鋭い洞察力、そしてエネ ルギッシュな精神を持っている。そして、60 年にわたる彼の建築家人生の基盤となってい る信条を、非常に明確に語ってくれた。「人のために作る。高度な技術は不要…… 続きは紙面でお楽しみください。 TwitterFacebookPinterest こちらの記事は Kinfolk Volume 40 に掲載されています 購入する Related Stories Design Interiors Volume 44 アクセル・フェルフォールド 究極の審美眼が宿る城塞。 Interiors Volume 31 ホームツアー: アーコサンティ まるでSF映画の舞台や地中海のヴィラのように見えるアーコサンティは、“ユートピアの生態系”と呼ばれている。 Design Interiors Volume 35 フェルナンド・カルンチョ 庭園は自然物と人工物の中間にある存在。ジョージ・アプトンがこのふたつの間を取り持つ造園家を訪れた。 Interiors Volume 39 中世モダン 中世モダン: デザイナーが暮らすフィレンツェの静かな邸宅。 Design Interiors Volume 37 ジャンカーロ・ヴァレ ジャンカーロ・ヴァレの仕事場。 Interiors Volume 38 ホームツアー: オリヴィエ&グラディス・シェネル 古代美術で彩られたパリのアパルトマンで繰り広げられるパ・ド・ドゥ。