• お買い物カゴに商品がありません。
cart chevron-down close-disc
:

SOUPES À L'ANCIENNE

歴史書に記されたスープ

  • Food
  • Volume 53

「Eats History」のアーカイブより、厳選レシピを紹介。
Recipes by Donnie Dodson . Photos by Gustav Almestål . Food & Set Design by Niklas Hansen.

1. ゼノンのストア派レンズ豆スープ

エウジェニア・サルザ・プリーナ・リ コッティの『Meals and Recipes from Ancient Greece(原題)』 (古代ギリシャの食事とレシ ピ)における解釈に基づくレンズ豆スープ。同 書は、文学的資料や考古学的証拠をもとに、古 代ギリシャの食文化を再構築した学術研究で ある。古代ギリシャ人は、現代的な意味での料 理本を残していなかったため、アテナイオス の『食卓の賢人たち』のような文献から、断片 的な情報を読み取るほかない。このスープは、 紀元前3世紀のストア派の創始者であるゼノ ンの思想を思わせる。すなわち、飾り気のない シンプルな素材、調和のとれた味わい、そして 必要な栄養を大切にする姿勢が、その背景にある。

4人分

レンズ豆 450g(洗っておく)

スープストック (野菜または鶏などのあっさりしただし)

2L リーキ(ポロねぎ)1本(みじん切り)

にんじん 1本(薄切り)

セロリ 1本(薄切り)

ねぎ 小1個(薄切り)

赤ワインビネガー 大さじ2

はちみつ 小さじ1

塩・黒こしょう

適量 エクストラバージンオリーブオイル(仕上げ用)

コリアンダーシード 各皿に12粒ずつ

作り方

中くらいの鍋に、洗ったレンズ豆とスープ ストックを入れる。沸騰させたら火を弱め、静 かに煮立つ状態を保ちながら25~30分煮る。 途中で表面に浮いてくるアクは取り除く。

リーキ、にんじん、セロリ、玉ねぎを加え、 さらに20~25分ほど、野菜が柔らかくなるま で煮る。よりとろみのある仕上がりにしたい 場合は、鍋の中でレンズ豆の一部をつぶすか、 一部を裏ごしして鍋に戻す。最後に赤ワイン ビネガーとはちみつを加え、塩・黒こしょうで 味を調える。

器に盛り、オリーブオイルをたっぷりとか け、各皿にコリアンダーシードを12粒ずつ散 らして仕上げる。

2. ローマ風ガスパチョ

パンを主材料とした冷製スー プ。料理人アピキウスの著書 とされる古代ローマの料理集 『ラルス・マギリカ(別名『デ・ レ・コクイナリア』)』に由来し、紀元1世紀から 4世紀頃にかけて編纂されたとされる文献を もとに再解釈されたものである。ガスパチョ という名称を持つが、現代のスペイン料理の ガスパチョとは異なる。酢に浸したパンに ハーブ、オリーブオイル、チーズを合わせた、 爽やかで滋養のある一皿である。古代ローマ では、兵士や労働者の間で広く飲まれていた 薄めた酢の飲料「ポスカ」を用い、古くなった パンをよみがえらせることが一般的だった。 この料理もその発想を受け継いでいる。仕上 がりは酸味とハーブの香りが際立ち、さっぱ りとした風味で、驚くほど新鮮な印象を与え る。酸味・甘み・油分がシンプルな一皿の中で 見事に調和しており、そこにローマ人の感覚 がよく表れている。

2~3人分

田舎風のハード系パン 小さめ1個 (厚めに3枚程度に切る)

水 約120ml+酢 大さじ2+白ワイン 大さじ(1 ポスカの代用)

にんにく 1片

ミント(刻む)大さじ1+仕上げ用に適量

コリアンダー(刻む)大さじ1+仕上げ用に適量

黒こしょう(ロングペッパー)ひとつまみ

はちみつ 大さじ1

パルメザンチーズまたは熟成ハードチーズ (すりおろし)約40~60g

オリーブオイル 大さじ2+仕上げ用に適量

白ワイン 大さじ1~2(仕上げ用)

塩 ひとつまみ

作り方

パンはちぎって中くらいのボウルに入れ る。酢と水を混ぜた液体を注ぎ、パン全体に染 み込ませる。約5分置く。

すり鉢とすりこぎで、にんにく、ミント、コ リアンダー、黒こしょう、はちみつ、チーズ、 オリーブオイルを合わせ、濃いペースト状に なるまですりつぶす(フードプロセッサーで も可)。

水分を吸わせたパンを加え、さらにすり混 ぜるか攪拌し、なめらかでスプーンですくえ る程度の状態にする。必要であれば少量の水 を加えてのばす。

15~20分ほど冷蔵庫で冷やす。器に盛り、 白ワインとオリーブオイルを少量ずつ回しか け、追加のハーブやチーズを散らして仕上げ る。塩で味を調える。

3. バビロニア風ハトのシチュー

このレシピは、イェール大学所 蔵の紀元前1750年頃の粘土板 に記された料理に由来し、し ばしば世界最古の料理記録の ひとつとして知られている。原文は英訳する と「鳥を用意し、水、塩、脂、玉ねぎ、粉、乳、 リーキ、にんにくを加えて煮て、提供する」と いったきわめて簡潔なものである。学者たち は、この「鳥」は古代メソポタミアで一般的か つ重要な食材であったハトであった可能性が 高いと考えている。このレシピで出来上がる のは、ミルクによってまろやかさが加わり、穀 物で軽くとろみがついた、意外なほど繊細な シチューである。約四千年前のバビロニアの 台所とつながる、稀有でありながら実感を伴 う味の記憶といえる。

3~4人分

ギー(または澄ましバター)大さじ1

小ぶりな若鶏 1羽(もも・むね・手羽に分ける)

玉ねぎ 小1個(刻む)

にんにく 2片(みじん切り)

リーキ 1本(薄切り)

水 約1L

牛乳 約235ml

塩 小さじ1 (または適量)

薄力粉 大さじ1

作り方

中くらいの鍋にギー(または澄ましバター) を入れ、中火で熱する。鳥肉を入れて全体に軽 く焼き色がつくまで焼き、一度取り出してお く。

同じ鍋で玉ねぎとにんにくを炒め、香りが 立ってやわらかくなるまで加熱する。鳥肉を 鍋に戻し、リーキと水を加える。

穏やかに煮立つ状態で約20分煮込み、肉が やわらかくなるまで火を通す。

牛乳と塩を加え、さらに数分静かに煮る。

小さな器で薄力粉と少量の煮汁を混ぜ、な めらかなペースト状にしてから鍋に加える。 軽くとろみがつくまで煮る。全体がやわらか く、なめらかな口当たりになったら火を止め、 温かいうちにいただく。

4. 心と魂を癒やす道家のスープ

道家のはじまりは紀元前4~3世 紀頃にさかのぼり、老子の『道 徳経』に代表されるように、身 体と自然界の調和を重視して きた。のちに、心身の調和や長寿、そして生命 エネルギーである「気」を整えることを目的と した食養生が発展した。一部の実践者は「辟穀 (へきこく)」と呼ばれる穀物を断つ修行を行 い、根菜や薬草、野草を用いた素朴なスープを 好んだ。この軽やかな野菜スープはそうした 思想を反映したものであり、季節に寄り添い ながら、胃腸に負担をかけず滋養を与える一 品である。

2~3人分

干ししいたけなどの乾燥きのこ 6~8個

水または野菜スープストック 約1L

にんじん 1本(薄切り)

大根またはカブ 約200~300g(角切り)

しょうがのスライス 2切れ

タンポポの葉などの野草(またはほうれん草 など)ひとつかみ

塩 適量

(あれば)刻みチャイブや野草ハーブ 少々

作り方

小さなボウルに干ししいたけを入れ、ぬるま 湯に20分ほど浸す。戻ったら取り出して薄切 りにする。戻し汁は好みでスープに加える。

中くらいの鍋に水またはスープストックを 入れ、弱火で煮る。にんじん、大根、戻したし いたけ、しょうがを加え、15~20分ほど煮て 野菜がやわらかくなるまで火を通す。葉物を 加え、しんなりするまでさらに3~5分ほど軽 く煮る。塩で控えめに味を調える。
仕上げに、刻んだチャイブや野草ハーブ(あ れば)を散らす。温かいうちに盛りつけ、素材 本来のやさしい滋味をいただく。

a_delivery_NEW

こちらの記事は Kinfolk Volume 53 に掲載されています

購入する

Kinfolk.jpは、利便性向上や閲覧の追跡のためにクッキー(cookie)を使用しています。詳細については、当社のクッキーポリシーをご覧ください。当サイトの条件に同意し、閲覧を続けるには「同意する」ボタンを押してください。